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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品新潟県

新潟県
工芸品の分類 金工品
工芸品名 越後三条打刃物

主要製造地域:新潟県




《特徴》
農業に必要な道具として、中世より「鎌」、「鍬」などの製造を行い、農閑期の農家の副業として発生した「和釘」作りを経て、師弟関係や既存の品物を創意工夫しながら技術の研鑽に努め、「包丁」「鉈」「鑿」「木鋏」「切出小刀」「鉞」等といった手工業による打刃物にまで発展させました。また、打刃物に必要な道具「ヤットコ(鉄ハシ)」なども自由鍛造の技術を駆使し、鍛冶職人が製造していたため、三条地域の鍛冶職人は製品を造るために必要な道具までも一貫して製造することができる特異な体系を現在まで保持しています。

磨耗が少なく、かつ、使う側の視点に立ったその製品群は、全国に広くその名が知られている逸品です。その類稀なる品質の高さは、一朝一夕にして成し遂げたものではなく、幾世代にも渡り受け継がれてきた職人の技によって成り立っています。

鍛冶の技法は、その習得に長い年月を要します。繰り返し鋼と炎に向き合い、ミクロ単位の歪みを叩いて調整する。この一見単純に見える作業を、常に探究心と情熱を持って飽きることなく積み重ねることで、いつしか「職人」と呼ばれるようになり、その技は現在も脈々と受け継がれています。
その造形技術が生み出す多様な製品群に対し、平成21年に経済産業大臣により、伝統的工芸品の指定を受けました。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
情報提供 : 三条鍛冶道場 様

素材 鉄、鋼など
製法・工法 越後三条打刃物製法

一つの製品を造り上げるまでに何十もの手作業による工程で、時間をかけ素材の良さを引き出して造られます。

【1】 鍛接
刃物は鉄(胴体部分等)と炭素鋼(刃部分)を炉で熱し、硼砂(接合財)を用いて鎚打ちにより圧力をかけて鍛接します。温度管理が非常に難しい作業でスピードと熟練の技が必要になります。

【2】 鍛造
削って成形する作業を極力少なくする為に火造り成形は材料を熱し、職人の手による鎚打ちなどの鍛造を行います。長年の経験と感性を要する職人ならではの作業です。

【3】 焼入れ
焼入れは「泥塗り」を行い急冷します。焼入れは日本刀に用いられる工程で、刃の硬さを増大する意味があります。

【4】 刃付け、研ぎ、仕上げ
「刃付け」「研ぎ」及び「仕上げ」は、手作業で行います。何種類もの砥石を使い、時間をかけて丁寧に仕上げていきます。

【5】 木製部分の作成
木製部分などの部品を除く本体の「材料づくり」から「仕上げ」まで一貫生産しています。越後三条打刃物は分業体制ではなく、一人の職人が最後まで造ります。素材の特徴を十分に理解した上で、最高をもの造りをしています。
歴史 三条における鉄の歴史は古く、古代から各時代を通じて鉄の痕跡を見ることができます。室町時代には、大崎鋳物師と呼ばれる技術集団が広く活動していたことが知られています。彼らは当時、その高い技術力をもって、鍋や八幡宮に奉納される鰐口、寺の梵鐘などを製造しており、別の遺跡では製鉄が行われていたことも分かっています。

戦乱も終わり平和な世の中になると武器に代わり新田開発に必要な士農具や都市の人々のためのさまざまな道具類の需要が高まってきます。そんな三条では、毎年のように起こる水害から農民を救うために、江戸より和釘職人を招致し、副業として和釘づくりを奨励しました。
江戸時代初期のことで、この後に江戸起きた「明暦の大火」による膨大な和釘の需要を受け、副業ではなく鍛冶専業職人が生まれた集落を作成しました。これが越後三条鍛冶集団の起源となります。

その後、会津地方より「鉈」などの製法が伝わりさまざまな刃物類が製造されると、全国に販路を持つ三条商人たちを媒介に製品を販売。さらに新たなニーズを吸収し商品開発に活かすといった好循環が繰り返されました。

近代になり刃物を科学的に研究する試みがなされるようになると、刃物造りの研究で、第一人者である岩崎航介氏より金属顕微鏡を使った科学的分析を伴う画期的な刃物造りが三条鍛冶に惜しみなく伝えられました。この出来事により、三条鍛冶は「伝統」と「先端の科学」といった両輪を、その技に内包することとなりました。
関連URL https://kajidojo.com

◆展示場所
三条鍛冶道場
 〒955-0072 新潟県三条市元町11-53
 TEL : 0256-34-8080 / FAX : 0256-34-8081
 開館時間 : 9:00~17:00
 体館日 : 月曜日、12月29日から翌年1月3日まで(月曜日が祝日の場合はその翌日)