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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品石川県

石川県
工芸品の分類 仏壇・仏具
工芸品名 金沢仏壇

主要製造地域:石川県




《特徴》
金沢仏壇の最大の特色は蒔絵を前柱、段縁、中柱、風呂の戸、引出し、ハ等に至るまで広範囲にわたって施していることで、蒔絵仏壇としての特色を生かしています。
しかもその技術水準が極めて高いことです。
この蒔絵も磨き蒔絵、高蒔絵を主体としているため全体的に渋くかつ上品な美しさを備え、永久的に変色せず拭いても禿げません。

木地に使用する材料は耐久性を重んじ骨組はアオモリヒバ(クサマキ)等、板物はイチョウ等を主体として用いています。
この為、長年月の使用が可能です。

各部分はほぞ組みによって製作されているため堅牢です。
従ってそれぞれ分解して、加工加飾作業ができるほか後日修理洗浄する場合非常に便利です。

上戸及び障子の取り付けの基点となる部分はほとんど回転軸となっていて、外側に開く型式です。
また上戸はすべて帯、輪入りであり、障子は上、中、下腰輪入(上腰輪を略する場合あり)です。

宮殿自体の高さがあるため、上屋根の上部に至るまで宮殿の全容がはっきり眺められます。
さらに宮殿の組み物のうち、下屋根の組み物は桝を五重組(四重もある)に組立て、上屋根の組物は二重~三重に組み立て組み物地板の穴に差し込むのが特色です。

塗り加工のうち下地は主要部は漆を用いた錆下地で、中塗りはほとんどの部分に施され、上塗りはすべて天然漆を使用、見付板、左右の横板、戸板等は呂色仕上げとなり、上戸表は紅透塗呂色とし、またすべての輪類は錆紐を引きます。

彫刻を施す部分のうち障子の上腰、中腰、下腰及び前指はすべて塗り加工、箔押しをせず木肌そのものを眺める木地彫となっていて、仏壇全体に渋みと上品さを加えています。
特に技法は積重ね方式ではなく、一切の接着剤を使用せず一枚板の彫りです。

障子金具には枝を施し、外周の輪かく等には面を取ります。
通常は銅合金又は銅板を加工しますが、高級品の障子金具には銀を使用する事が多いです。

金箔は金沢が全国の主産地のため、特に品選びに有利となっています。

障子の組子には紗を張りますが、これは通常本紗生地に金色糸で刺繍ハを施したものを使用します。
図柄は唐草又は散り蓮華です。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 金沢仏壇商工業協同組合 様

素材 タブ・クス・コクタン・イチョウ・ヒバ・マツ・スギ・銅・銅合金・銀・天然漆
製法・工法 金沢仏壇は以下の工程を経て造られます。

【1】 木地製造工程
【2】 宮殿製造工程
【3】 箔堀製造工程
【4】 木彫製造工程
【5】 塗加工工程
【6】 蒔絵工程
【7】 呂色工程
【8】 箔押工程
【9】 金具製造工程
【10】 組立工程

関連URL(金沢仏壇商工業協同組合ホームページ)にて各工程の動画を見る事が出来ます。
歴史 金沢仏壇の沿革を知る上で次の二点が重要です。

即ち一つは金沢仏壇の製造が繁栄した背景に蓮如上人の北陸巡化によって浄土真宗が庶民の間に非常に深く根が下されている事です。
一つは三代藩主前田利常によって整備され、五代綱紀によって完成された細工所によって優秀な工芸技術家が大勢育つた事です。

文明3年(1471)南加賀の吉崎を来訪した蓮如上人は次第に加賀一円にその教えを広め部落ごとに道場をつくり、いくつかの道場が出来ると末寺を設けました。
こうして設置された道場は、加賀農民にとっての信仰の場として又寄り合いの場となり自治組織として発展していきました。

又同時に御講が各地に出来て仏壇の必要性が自然に芽生えていきました。
一方仏壇の製作について考えられる事は、三代利常によって細工所が作られ、京都・大阪より大勢の名工を招き定住させ細工奉行の下七十名余の細工者を抱え優秀なる美術工芸品を製作し、加賀美術の基礎を築きました。
関連URL http://kanazawa-butsudan.or.jp/

◆展示場所
金沢仏壇商工業協同組合
 〒920-0855 石川県金沢市武蔵町8-2瀬沢ビル3F
 TEL : 076-223-4914 / FAX : 076-232-6714