総数:127件
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《特徴》
新年の祝福に満ちた「式三番叟」が最初に演じられる加賀万歳は、金沢のお正月に欠かすことのできない風物詩であり、越前万歳の流れをくんだ古典芸能です。元旦に、真っ赤な大黒頭巾や独特の衣装を身にまとい、家々の年賀に向かう様子は金沢独特のもの。加賀百万石のいにしえをしのぶ雰囲気を醸し出しています。
加賀万歳は元来、前田利家が越前の府中(武生市)を統治していたころ、野大坪のお百姓さんたちが年頭の恒例行事として披露していた越前万歳がルーツです。利家が金沢城に入城した後、金沢の人たちが真似て楽しむようになっていったのです。
江戸時代の文化文政の頃には、金屋町の宝生流能楽師である大石藤五郎が越前万歳の舞や歌詞を発展させ、能の要素を取り入れながら、より優雅で、気品があり、地元の方言も交えた斬新な万歳を確立していきます。これが当時は地万歳と呼ばれ、現在の加賀万歳の基礎となりました。
明治に入ってから地万歳は、金沢旧市内の旧家や大商家、娯楽街の寄席で演じられます。昭和になって、地万歳は加賀万歳と呼ばれるようになりますが、漫才の流行や、戦争などの影響を受け、伝承者は激減してしまいます。しかし、昭和50年には金沢市文化財の指定を受け、加賀万歳保存会が中心となってその保存、継承に当たっています。
加賀万歳の構成としては基本的に、主人である太夫と、従者である才蔵の掛け合いで行われますが、太夫だけが舞って、才蔵が後ろで囃子を受け持つ曲目も見受けられます。加賀万歳の曲目は、副田平治(松園)著の『加賀万歳』によると全52曲あり、これに記されていない新作「北陸鉄道」「兼六園」の2曲を合わせて54曲が確認されています。
現在演じられている加賀万歳の中でも、「式三番叟」「町尽し」「北国下道中」は最も代表的な演目です。「式三番叟」は、加賀万歳が正式に上演される際、必ず最初に行われ、長寿と屋形の繁栄を願った祝言。滑稽な表現は一切なく、格調高い式舞となっています。「町尽し」と「北国下道中」は歴代の藩主をはじめ、一般的に多くの人たちから人気を集めてきました。
「町尽し」は、序詞や掛詞を駆使して金沢の町名や寺社の名前を唄い込んでいく内容で、小立野台に始まり、犀川、寺町、石坂(いっさか)、香林坊、武蔵、浅野川、卯辰、駅近く、といった順番で名前が登場します。この中には既になくなっている町名もあり、時代の移り変わりを実感させてくれるものです。唄は流しでうたわれ、太夫だけが式舞風に踊ります。
「北国下道中」は、加賀藩が参勤交代で北陸道、北国街道、中仙道をたどり、江戸に到着する道中を唄ったもの。前唄と後唄を付け、十二番に分けて唄われます。歌詞には、道中の地名やそれぞれの名所、名物が織り込まれ、巧みな掛詞として用いられます。太夫と才蔵の二人が舞い、途中の囃子はありません。唄は、あくまでもゆったりと唄う典型的な番物となっています。
加賀万歳の魅力は、衣装と楽器にもあります。
太夫の衣装は、黒漆で塗られた小さな侍烏帽子をかぶり、素袍(すおう)といわれる独特の衣装を身にまとって、腰に帯刀、そして右手に扇子を持ちます。この姿は、庶民よりも身分の高い士分を表しています。素袍は、黒染めの麻布地に二本の縞と舞鶴を染め抜いたもので、この鶴は白鶴と、頭の赤い丹頂鶴の両方があり、現在は、子持ち縞に梅鉢を染めた素袍も用いられています。
才蔵の服装は、黒染めの紋付きに派手な袴といった格好であり、帽子に特徴があります。流しの場合、才蔵は真っ赤なベレー帽のような大黒頭巾を、番物の時にはかます帽子と言われるものをかぶります。かますとは、穀物を入れる藁製の四角い入れ物のことで、かます帽子はそれに似て、縦に長い四角い形をしています。表には梅鉢や唐獅子牡丹といった豪華な刺繍がほどこされ、長くて太いあご紐が付いています。大黒頭巾もかます帽子もどこかユーモラスな雰囲気を醸し出しており、才蔵のキャラクターを十分に引き立てていると言えるでしょう。
家の門口に立って演じられる越前万歳とは対照的に、加賀万歳は“御殿万歳”“座敷万歳”ともいわれ、通常は座敷で披露されます。このため、太夫、才蔵ともに白足袋をはき、常に真っ白な足裏を見せるため、真新しい白足袋を二、三足持ち歩くのが通例となっています。
加賀万歳で使用する楽器は、三河万歳、尾張万歳と違って、鼓ではなく、越前万歳と同様に小太鼓を使用します。小太鼓は檜の曲物に黒漆をかけた胴に皮を張ったもので、これにばちが紐でつながれています。ばちは、かつて籐で作られたものが使われていましたが、現在、籐が入手困難であることから、雌竹で作られたものが一般的となっています。
国指定重要無形民俗文化財]
提供: (文章) 金沢市役所 経済局 営業戦略部 観光交流課 様 / (写真)金沢市観光協会様
新年の祝福に満ちた「式三番叟」が最初に演じられる加賀万歳は、金沢のお正月に欠かすことのできない風物詩であり、越前万歳の流れをくんだ古典芸能です。元旦に、真っ赤な大黒頭巾や独特の衣装を身にまとい、家々の年賀に向かう様子は金沢独特のもの。加賀百万石のいにしえをしのぶ雰囲気を醸し出しています。
加賀万歳は元来、前田利家が越前の府中(武生市)を統治していたころ、野大坪のお百姓さんたちが年頭の恒例行事として披露していた越前万歳がルーツです。利家が金沢城に入城した後、金沢の人たちが真似て楽しむようになっていったのです。
江戸時代の文化文政の頃には、金屋町の宝生流能楽師である大石藤五郎が越前万歳の舞や歌詞を発展させ、能の要素を取り入れながら、より優雅で、気品があり、地元の方言も交えた斬新な万歳を確立していきます。これが当時は地万歳と呼ばれ、現在の加賀万歳の基礎となりました。
明治に入ってから地万歳は、金沢旧市内の旧家や大商家、娯楽街の寄席で演じられます。昭和になって、地万歳は加賀万歳と呼ばれるようになりますが、漫才の流行や、戦争などの影響を受け、伝承者は激減してしまいます。しかし、昭和50年には金沢市文化財の指定を受け、加賀万歳保存会が中心となってその保存、継承に当たっています。
加賀万歳の構成としては基本的に、主人である太夫と、従者である才蔵の掛け合いで行われますが、太夫だけが舞って、才蔵が後ろで囃子を受け持つ曲目も見受けられます。加賀万歳の曲目は、副田平治(松園)著の『加賀万歳』によると全52曲あり、これに記されていない新作「北陸鉄道」「兼六園」の2曲を合わせて54曲が確認されています。
現在演じられている加賀万歳の中でも、「式三番叟」「町尽し」「北国下道中」は最も代表的な演目です。「式三番叟」は、加賀万歳が正式に上演される際、必ず最初に行われ、長寿と屋形の繁栄を願った祝言。滑稽な表現は一切なく、格調高い式舞となっています。「町尽し」と「北国下道中」は歴代の藩主をはじめ、一般的に多くの人たちから人気を集めてきました。
「町尽し」は、序詞や掛詞を駆使して金沢の町名や寺社の名前を唄い込んでいく内容で、小立野台に始まり、犀川、寺町、石坂(いっさか)、香林坊、武蔵、浅野川、卯辰、駅近く、といった順番で名前が登場します。この中には既になくなっている町名もあり、時代の移り変わりを実感させてくれるものです。唄は流しでうたわれ、太夫だけが式舞風に踊ります。
「北国下道中」は、加賀藩が参勤交代で北陸道、北国街道、中仙道をたどり、江戸に到着する道中を唄ったもの。前唄と後唄を付け、十二番に分けて唄われます。歌詞には、道中の地名やそれぞれの名所、名物が織り込まれ、巧みな掛詞として用いられます。太夫と才蔵の二人が舞い、途中の囃子はありません。唄は、あくまでもゆったりと唄う典型的な番物となっています。
加賀万歳の魅力は、衣装と楽器にもあります。
太夫の衣装は、黒漆で塗られた小さな侍烏帽子をかぶり、素袍(すおう)といわれる独特の衣装を身にまとって、腰に帯刀、そして右手に扇子を持ちます。この姿は、庶民よりも身分の高い士分を表しています。素袍は、黒染めの麻布地に二本の縞と舞鶴を染め抜いたもので、この鶴は白鶴と、頭の赤い丹頂鶴の両方があり、現在は、子持ち縞に梅鉢を染めた素袍も用いられています。
才蔵の服装は、黒染めの紋付きに派手な袴といった格好であり、帽子に特徴があります。流しの場合、才蔵は真っ赤なベレー帽のような大黒頭巾を、番物の時にはかます帽子と言われるものをかぶります。かますとは、穀物を入れる藁製の四角い入れ物のことで、かます帽子はそれに似て、縦に長い四角い形をしています。表には梅鉢や唐獅子牡丹といった豪華な刺繍がほどこされ、長くて太いあご紐が付いています。大黒頭巾もかます帽子もどこかユーモラスな雰囲気を醸し出しており、才蔵のキャラクターを十分に引き立てていると言えるでしょう。
家の門口に立って演じられる越前万歳とは対照的に、加賀万歳は“御殿万歳”“座敷万歳”ともいわれ、通常は座敷で披露されます。このため、太夫、才蔵ともに白足袋をはき、常に真っ白な足裏を見せるため、真新しい白足袋を二、三足持ち歩くのが通例となっています。
加賀万歳で使用する楽器は、三河万歳、尾張万歳と違って、鼓ではなく、越前万歳と同様に小太鼓を使用します。小太鼓は檜の曲物に黒漆をかけた胴に皮を張ったもので、これにばちが紐でつながれています。ばちは、かつて籐で作られたものが使われていましたが、現在、籐が入手困難であることから、雌竹で作られたものが一般的となっています。
国指定重要無形民俗文化財]
提供: (文章) 金沢市役所 経済局 営業戦略部 観光交流課 様 / (写真)金沢市観光協会様
所在地 | 石川県金沢市本多町 |
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展示場&開催場所 | 新春恒例公演
開催場所:前田土佐守家資料館 日時:1月上旬 他、様々な場所で公演を行っております |
問い合わせ先 | 金沢市役所 経済局 営業戦略部 観光交流課
Tel 076-220-2194 |
伝統文化の 体験・一般参加 |
「加賀万歳」の様子を見学いただけます。
場所:金沢市内 日時:随時 |