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川俣の元服式 | 郷土芸能・民俗芸能 カテゴリ

総数:127件

伝統文化

川俣の元服式
伝統文化の分類 郷土芸能・民俗芸能
文化名 川俣の元服式



《特徴》
「川俣の元服式」とは、栃木県日光市川俣地区に伝承されている古典的成人式です。

数え年が二十歳、つまり成人に達した男子が、血縁関係の薄くなっている親族の中から成人後の後見人(武士階級でいうところの元服式におけるエボシオヤ)を選び親分、子分の関係を結びます。かつては、この式の際に親分が子分へ新しい名前をつける「名付け式」という儀式もあったため、「ナヅキ」という名称でも呼ばれています。

この「川俣の元服式」は、まず、親分を事前に決定するところからはじまります。親分の決め方は、子分の氏名制となっています。子分の意向を受けた仲人が親分宅を訪問し、親分になってもらうように依頼後、承諾を得ておきます。そして、1月21日の儀式当日、子分は紋付き袴姿で、親分や自治会長は清掃を身にまとい集会所に集まり、当番制である司会進行の若衆当番頭によって仕切られます。

親分と子分が向かい合って座り、いよいよ元服式がはじまります。まずは、オチョウ・メチョウ役の男の子と女の子のお酌で「親子(親分子分)固めの盃」をかわします。続いて、「血肉を分けた仲になる」という縁起からオツレと呼ばれる中学生男子の切り分けた生魚(鱒)を、古式の例にならった方法で切り分け、親分子分で食べ分けます。魚の他にもカズノコ(子孫繁栄)、サクラエビ(長寿)、ワカサギ(若さ)などといった縁起もののごちそうも用意されています。

その後、長老たちによる謡(うたい)「高砂」「四海波」が朗々と謡われ、その謡に合わせてオチョウ・メチョウ役がついだ酒を親分、親分の妻、子分が飲み分け元服式は終了となります。式終了後は酒宴となり、新成人の門出を祝うために川俣湖民俗芸能保存会による「三番叟(さんばそう)」と「恵比寿大黒舞」が披露されます。

元服式が終わり、親分子分の関係を結んだあとは、両者に様々な付き合いが見られます。習わしとしてのつきあいとして、子分は親分に対し、年始の挨拶や彼岸の線香上げ、暮れの歳暮礼などの礼を尽くします。一方の親分は子分に対し、子分の結婚の際には親分が指揮をとって切り盛りしたり、子分夫婦にこどもが生まれた場合には親分の妻からお祝いの着物が贈られるなど、きちんと答礼がなされます。そのほかにも、子分の生活全般の相談を受けたり、出来るだけ後ろ盾をするのも親分の役目です。

[ 国指定重要無形民俗文化財 ]
情報・画像提供 : 日光市観光協会 湯西川・川俣・奥鬼怒支部 様


所在地 栃木県日光市川俣
展示場&開催場所 栃木県日光市川俣 川俣集会所
問い合わせ先 (一社)日光市観光協会
TEL 0288-22-1525
アクセス 川俣湖温泉民宿村下車、徒歩5分
伝統文化の
体験・一般参加
「川俣の元服式」を見学いただけます。
【※ 注意】 数え年が二十歳になる男子がいない年は元服式を開催しておりません。開催の有無・詳細は上記お問合せまでご連絡くださいますようお願いたします。