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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
益田糸あやつり人形 | 文楽(人形浄瑠璃)・人形芝居 カテゴリ

総数:128件

伝統文化

益田糸あやつり人形
伝統文化の分類 文楽(人形浄瑠璃)・人形芝居
文化名 益田糸あやつり人形



益田糸あやつり人形《特徴》
益田糸あやつり人形は、昭和38年7月2日に「島根県無形民俗文化財」に指定されました。
益田に糸あやつり人形が伝わったのは、明治20年ごろといわれます。当時、東京浅草で糸あやつり人形芝居を興行していた山本三吉が、その衰退を懸念し関西から益田に居を移すと、当時盛んであった浄瑠璃の愛好者たちの集まり「小松連(こまつれん)」に迎えられたことに始まります。のちに彼の指導のもと、現在の益田糸あやつり人形芝居が形作られました。
この人形芝居は、人形操者、太夫、三味線、後見の4役で上演され、地は義太夫節です。人形の操法は、遣(つか)い手が高さ2メートルの歩(あゆ)み板の上から、丈約70センチの人形の各所に17本から25本の糸が繋がった、四つ目と呼ばれる手板を使って人形に微妙な動きを与えるもので、この操作には熟練を要します。 この操法自体が東京の結城座(ゆうきざ)や竹田座(たけざや)に現存する改良されたものとは異なっており、益田糸あやつり人形のように古い形態をとどめたまま上演されるのは、わが国で現在上演されている糸あやつり人形の中で唯一無二のものといわれます。

また、益田糸あやつり人形には多くの演目があります。以下、演目の紹介をします。

【三十三間堂棟木の由来 平太郎住家の段(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい へいたろうすみかのだん)】
白河法皇は熊野山中の柳の木の梢に前生の髑髏がかかっており、風が吹く度に頭痛を起こされていた。法皇の病気平癒祈願のため、その木を棟木として三十三間堂を建立する事になった。この柳は五年前に秋仲の鷹狩りの際、鷹の足緒がからまって切られかかったところ、平太郎の一矢で免れた木である。恩返しのために人の姿となった柳の精お柳は平太郎の妻になり、緑丸という子を設けていた。柳の木を切る音が聞こえる。お柳は苦しみに堪えつつ平太郎に身の上を明かし、法皇の前生の髑髏を渡すと、これを手柄として出世するように言い残して消えて行った。街道では柳の木を切って運ぼうとしたところ突然動かなくなり難渋していたが、緑丸を連れた平太郎が是非綱を引かせてほしいと頼む。平太郎の木遣音頭で緑丸が綱を引くと、柳は易々と動くのだった。

【義経千本桜 すしやの段(よしつねせんぼんさくら すしやのだん)】
すし屋「釣瓶鮓」には、主人の矢左衛門・女房のお米、娘のお里、美男の手代弥助が暮らしている。そこに一夜の宿を借りに来た若葉の内侍と六代君。弥助との思わぬ出会いに、彼の正体が三位中将維盛と知れる。寄合いで平家探索の手が下市村まで伸びてきていることを知って戻ってきた矢左衛門。そんな中、勘当されている息子の権太が父親の目を盗んで訪れ、母に無心をして出て行く。いよいよ詮議役の梶原景時がやってきて、矢左衛門は維盛一家を別の場所に移すが、そこに権太が一家を捕えたと言ってやってくる。絶望する矢左衛門。しかしそれは、権太命がけの親孝行だった。一家は救われ、維盛は出家し高野山へと向かうが、矢左衛門家の権太は絶命しお里は婚約者を失うのだった。

【伊達娘恋の緋廉子 八百屋お七の段(だてむすめこいのひがのこ やおやおしちのだん)】
八百屋のお七は、刀が入ったことを恋人の小姓吉三郎に一刻も早く知らせ届けたいと思っている。吉三郎は大事な家宝の刀を預かり守っていたが、それを盗まれてしまい、今日中に差し出すか、さもなくば切腹を命じられるという苦しい立場にあった。お七は刀の事を早く知らせようとするが、時すでに遅く木戸が閉まってしまい吉三郎のもとへ行くことができない。困り果てたお七は、そこに火の見やぐらがあることに気がつく。火の見やぐらの太鼓を打てば火事の知らせに木戸が開かれるという話を思い出し、自分はどうなっても吉三郎を助けようと、大雪の降る中、火の見やぐらに登って太鼓を打ち木戸を開かせようとする。恋人を助けようとする女の一念の物語。

[島根県無形民俗文化財]
提供:島根県芸術文化センター「グラントワ」 様


所在地 〒698-0022 島根県益田市有明町5番15号 島根県芸術文化センター「グラントワ」
展示場&開催場所 【益田糸あやつり人形/定期公演】
年4回の定期公演です。
会場:島根県芸術文化センター「グラントワ」
料金:無料
問い合わせ先 島根県芸術文化センター「グラントワ」
TEL: 0856-31-1860 FAX: 0856-31-1884
アクセス バスで … JR益田駅から石見交通バス(医光寺行き)に乗車。約5分で到着。(→「グラントワ前」バス停下車)バスは10分~15分間隔で運行。
JRで … JR益田駅から約1km(→バス:約5分、徒歩:約15分)
夜行・高速バスで … 石見交通 「益田駅」下車。「東京」より約13時間、「大阪」より約7時間30分、「広島」より約2時間30分。
新幹線で … 山陽新幹線 「新山口駅」下車(→山口線:JR益田駅まで約1時間40分)。「東京駅」より約8時間、「新大阪駅」より約5時間。山陽新幹線 「広島駅」下車(→高速バス:JR益田駅まで約2時間30分)
伝統文化の
体験・一般参加
【益田糸操り人形 体験】
年4回の定期公演終了後、益田糸操り人形体験ができます。
日時:定期公演終了後
会場:島根県芸術文化センター「グラントワ」
料金:無料

【益田糸操り人形 練習】
益田糸操り人形保存会は、後継者育成に力を入れております。ぜひ、練習にもご参加ください。
日時:毎週金曜日 18時頃より
会場:益田市民学習センター