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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
河内祭の御舟行事 | 祭り カテゴリ

総数:128件

伝統文化

河内祭の御舟行事
伝統文化の分類 祭り
文化名 河内祭の御舟行事



河内祭の御舟行事《特徴》
【河内祭(こうちまつり)とは…】
古座川町流域の5地区(古座、古田、高池、宇津木、月の瀬)が担い手となって行われてきた伝統祭礼。紀州藩が編纂した「紀伊続風土記」に「日置浦より新宮迄の間に此祭に次ぐ祭なし」と書かれるほど古くから有名な祭りであった。河口に位置する古座の中心産業は漁業、その他の地区は主に山林業を基軸に長年コミュニティーを形成してきた。このように性格を異にする地域が年に一度、共に河内神社(河内様)に集い、それぞれ独自のやり方で祭礼を行うという、他にあまり例をみない形式の祭りである。

【河内様とは…】
河内神社のご神体は「河内様(地元発音ではコオッタマ)」と呼ばれる花崗岩質の小島。拝殿を持たない自然崇拝の名残をとどめる原始的形態の神社である。中央の森の中に聖なる石があり、御舟や当舟、獅子伝馬など祭りの主役となる舟が河内様に着くと、まず代表者が上陸し、神聖な海水とお神酒をふりかけ、拝礼する。ご祭神はスサノオノミコトとなっているが、スサノオと習合する渡来神である牛頭(ごず)天王とされたこともあり、疫病祓いである祇園会との関係を指摘する専門家もいる。祭礼が行われる河原の石にも霊力が宿るとされ、戦争中は出征兵士が河内様の河原の石をお守りとして持参して戦地に赴くことが広く行われたという。いずれにせよ、河内様は、山の民と海の民の信仰を集める「河内大明神」として理解するのがよさそうだ。

【ショウロウとは…】
祭りで「生き神様」的役目を担うのが「ショウロウ」で、古座区の小学生児童から、女子(1名)、男子(2名)が選ばれる。ショウロウは、古座神社に宮入後は神社に寝泊りし、役目が終わるまで、けがれを嫌って地面を踏むことも許されないのが原則(数年前から神社に寝泊りすることはなくなった)。祭り当日、お稚児さん姿のショウロウは、神官とともに御座舟である「当舟(とうふね)」に乗込み、神事の間は河原にしつらえたショウロウ座に座り拝礼を受ける。
 ショウロウ座は、河内様ではなく、海上の九龍島の方向を向いていることから、その解釈をめぐってさまざま説がある。一方、高池下部では「オヒサシガンド」と呼ぶ、老婦人1名、男女1名ずつの児童2名が毎年選ばれる。こちらは、ワラジを履く以外は特別な衣装も無く、神事の間は河内様の方を向いて座る。拝礼を受けることもない。

【河内様は女の祭り】
ショウロウや獅子舞の天狗約など特別な例を除いて、河内祭の担い手はほとんど男である。女性は、ただ屋形舟のお客さんとして、のんびり祭りを楽しんでおればよい結構な身分というわけで「河内様は女の祭り」といわれている。ちなみに、河内様のすぐ手前に六蛇(ろくじょう)の瀬という難所があり、男衆が屋形舟が上るのを手伝おうと待ち構えている。ここが男女の出会いの場となることがよくあったという。

【河内祭の楽しみ】
○快適な屋形船
河内祭の楽しみのひとつに「屋形舟での祭り見物」がある。古座川流域では、昔は川舟が主要な交通手段だったこともあって、自前の舟または、チャーターした屋形舟に親類縁者が乗り込んでの祭見物が楽しみのひとつだった。道路が整備され、車が普及するにつれて屋形船の数はすっかり減ってしまったが、炎天下暑い河原にいる人々を尻目に、水上で涼しく飲食するぜいたくは、今後大いに見直されてもよいものである。見知らぬ者同士の水掛け合戦も河内祭りの名物。
 
○カシワズシ
河内祭特有の料理がある。本祭で高池下部の直会の座でふるまわれる郷土料理がカシワズシ、カワエビ、ソラマメ、ナマス、トビウオの塩焼きなどだか、中でもどこの地区でもつくるのがカシワズシ。五目寿司に似たご飯(当地でオマゼと呼ぶ)のお握りをアカメガシワの葉に包んだもの。これが大変おいしい。柿の葉寿司や目張り寿司と違い、そのまま携帯できるし、見た目もよい。アカメガシワの葉には防腐効果に加え、ご飯がくっつかない、香りがよいというすぐれた特徴があり、今後全国的にブレークするかも?

[国指定重要無形民俗文化財]
提供:古座青年会 様


所在地 古座川町流域の5地区(古座、古田、高池、宇津木、月の瀬)
展示場&開催場所 【河内神社】
和歌山県東牟婁郡古座川町宇津木171番地
Tel:0735-72-0589(古座神社)
観るポイント 祭りのハイライトは、江戸時代に沿岸捕鯨で栄えた古座の鯨舟に華麗な装飾を施し、軍艦に見立てた三隻の御舟(みふね)の水上渡御。河内神社のご祭神は河口の古座神社に合祀されているのだが、この例大祭では、元々鎮座されていた約3km上流の「河内様(コオッタマ)」と呼ばれ、ご神体とされる川の中の小島まで「河内大明神」に神額を揚げた御船が遡り、そこが主祭場となる。そして熊野地方の獅子舞のルーツといわれる古座流の獅子舞の競演や、櫂伝馬競争など見どころが多い。御舟行事と古座青年会の古座獅子は文化庁の重要無形民族文化財に指定されている。
伝統文化の
体験・一般参加
【見学】
河内祭の御舟行事
場所:河内神社
日時:例年 7月24日(宵宮)7月25日(本祭り)
URL http://www.kushimoto.jp/kozajisi/index.html