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論田・熊無の藤箕製作技術 | 民俗技術 カテゴリ

総数:128件

伝統文化

論田・熊無の藤箕製作技術
伝統文化の分類 民俗技術
文化名 論田・熊無の藤箕製作技術



論田・熊無の藤箕製作技術《特徴》
「論田・熊無(ろんでん・くまなし)の藤箕製作技術(ふじみせいさくぎじゅつ)」とは、富山県氷見市の西部、石川県との県境付近に位置する論田、熊無という隣り合う2つの集落に伝承されてきた箕を作る技術です。作製の工程はもちろん材料の採取から加工まで、全て手作業で行われます。

「藤箕」とは、製作材料に藤(フジ)を使用した箕のことです。両手で縁を持ち、揺り動かして穀物ともみ穀やごみなどをふるい分けたり、作物を運ぶために利用される道具として主に農家で利用されていました。大きさや形によって、いくつかの種類にも分類されます。

氷見市論田・熊無地区における藤箕生産はおよそ600年前に天台僧により伝わったとの伝承があります。江戸時代には、加賀藩の役人から藤箕の献上を申しつけられ、その出来ばえを賞賛されたことをきっかけに毎年献上し、藩内での「藤蔓(ふじづる)」などの材料収集に特別の保護を受けていた、と伝えられています。
かつて論田・熊無地区では、ほぼ全戸において「藤箕」が製作され、明治末頃で年間約5万枚、大正期から昭和初期にかけては10万枚超を数えるほどに大量の藤箕を生産していました。多少の増減はありながらも、昭和30年代末頃まで同地区の主産業としてその全盛を誇っていました。

製作は、①材料(フジ、ヤダケ)の採取・加工、②ヒラミと呼ばれる平面状に編む工程、③ヒラミを立体にして持ち手を取りつけるという3つの工程に分かれています。
フジを経糸(たていと)、ヤダケを緯糸(よこいと)にして丁寧にござ目に編んでヒラミを作り、これにU字に曲げたニセアカシア、またはヤマウルシの枝を持ち手として取りつけます。丈夫な箕を作るためにはヒラミを編む工程で、幅の広い「ハバフジ」と幅の狭い「ヨセフジ」を交互に編んで編み目を密にしたり、「ハバフジ」の裏に細いヤダケのひごを一緒に編んで形状を安定させたり、箕の先端にヤマザクラの皮を編み込んだりする、といった特徴的な技術もみられます。

現在は、生産者の高齢化やプラスチック製品の台頭の影響などもあり、生産量は減少しています。ですがその一方で、昭和50年代頃からは民芸品としての「福箕(ふくみ)」が生産されて、主に関西方面に出荷されています。
また、2012年には優れた技術の保存と継承に向けて「論田・熊無藤箕づくり技術保存会」が設立されました。保存会では、地元の小学校での体験学習を行うなど、普及啓発に努めながら、新たな担い手の育成を図り、技術を末永く伝えていく活動をしています。

[国指定重要無形民俗文化財]
情報・画像提供 : 氷見市教育委員会 教育総務課 様

氷見市立博物館


氷見市農協双光支所

所在地 富山県氷見市 論田および熊無
展示場&開催場所 【展示】氷見市立博物館
〒935-0016 富山県氷見市本町4-9
TEL 0766-74-8231
【販売】氷見市農協双光支所
〒935-0251 富山県氷見市熊無205-1
TEL 0766-76-1301
問い合わせ先 氷見市教育委員会 教育総務課
TEL 0766-74-8211
アクセス 【氷見市までのアクセス】
高岡駅から「氷見線」乗車後、約30分で「氷見駅」下車。
観るポイント 手間暇をかけて編まれた藤箕からは、職人さんの思いや温かみを感じることが出来ます。農業用のみならず、民芸品としての「福箕」と呼ばれる藤箕もあります。お土産に購入したりインテリアとしてのご使用など、「藤箕」をより身近に感じることができます。