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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品茨城県

茨城県
工芸品の分類 陶磁器
工芸品名 笠間焼

主要製造地域:茨城県




《特徴》
笠間焼は江戸時代安永年間(約230年前)頃より、現在の滋賀県信楽焼より陶芸技法が伝わり200年近く厨房用粗陶器類(かめ、すり鉢等)を生産して参りました。

戦後より人々の生活様式が徐々に変化すると共に従来の笠間焼(かめ、すり鉢等)の需要は減少の一途をたどり笠間焼存亡の危機に瀕する状況となり方向転換を余儀無くされ笠間焼の方向を模索した時期を過て、現在の工芸陶器の産地として生れ変りました。

現在笠間市内に200軒、隣接町村を入れると300軒ほどの窯元や陶芸家が、活躍をして居ります。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定)]
提供 : 笠間焼協同組合 様

素材 笠間粘土・蛙目粘土
製法・工法 【1】 原土採掘
山や畑の地下にうずもれていた粘土を掘り出します。

【2】 圷土工程(粘土づくり)
掘りだされた粘土をしばらくの間野外で野ざらしにして水を混ぜ、ねり状にして粘土をつくります。
a.水簸による粘土づくり
b.トロンミル及びフィルタープレス機械による粘土づくり

【3】 菊もみ工程
菊の花びらのようにねり、空気をぬいて、水分の均一化をはかります。

【4】 成形工程(形づくり)(形をつくる)
成形には、ろくろ成形、型起し成形、手ひねり成形があり、これらの方法により、いろいろな形をつくります。

【5】 乾燥工程
片乾きによる、ひずみや亀裂を生じないように平均的に乾燥させます。
a.日陰乾燥
b.天日乾燥
c.熱風乾燥(人工)

【6】 素焼工程
よく乾燥した製品を窯に入れて700~800℃で約10~15時間、釉薬がかかりやすく、取扱がしやすいように素焼します。

【7】 下絵付け工程
素焼した製品に、筆等に絵具、釉薬をつけ下絵を描きます。
素焼の前に化粧土を泥状にして表面に施したり、素地の面を板金等で削り取り模様を描いたり、模様を張り付けたりする製法もあります。
また本焼成後絵付けして800℃で焼きつける加飾と言う製法もあります。

【8】 施釉工程(釉薬をかけます)
素焼された製品に、釉薬(黒釉、白マット釉、灰釉、乳白釉等)をかけます。
浸し掛け、流し掛け等があり殆ど手作業で行なわれます。

【9】 本焼成工程
施釉された製品を入れて、1,250℃~1,300℃で約20時間本焼成します。

【10】 仕上、検査工程
窯出しされた製品をひとつづつ底を滑らかに仕上げ、割れ等がないか調べます。
歴史 笠間焼の誕生と言えば、江戸時代の安永年間(1772~1781年)。

箱田村(現在の笠間市箱田)の久野半右衛門が、信楽の陶工・長石衛門の指導で焼き物を始め築窯したこととされています。
明治に入っても、笠間は19の窯元を数える厨房用粗陶器の産地として知られていました。

しかし、終戦後、プラスチック製品などの流入によって人々の生活様式も大きく変化。
百数十年におよぶ関東-の歴史を誇る陶の里も、陶器需要の減少とともにそれまで経験したことのない危機に直面してしまいます。

消えかかった笠間の火を取り戻す。
それには予想をはるかに上回る努力が必要でした。
そして、復興の大きなきっかけとなるのが、そうした関係者の熱意によって昭和25年に設けられた、茨城県窯業指導所。

そこでの工芸陶器を目指した釉薬の改良や原料となる粘土の研究と試行錯誤、陶工の養成などが、やがて試練の時代に一筋の光を呼び入れることになるのです。
また、厨房用粗陶器から工芸陶器への転換も、現在の笠間焼とその隆盛を語るうえでは欠かせない判断だったと言えるでしょう。

新しい作品は、日本はもとより海外でも次第に高い評価を獲得。
一万、笠間では日本の経済復興という追い風もうけて、県外からの研修生や築窯希望者も増加。
少しずつ現在につづく活気を育んでいきます。

昭和45年は30、昭和55年で100を数える窯元もそんな笠間焼の隆盛を物語るものと言えるのでしょう。
伝統を受け継ぎながらも作家の個性をより重じる方向へ作風を転換した笠間焼。
いま、自由闊達な空気のなかで多くの陶芸家たちかその感性を磨きつづけています。

時代を超えて受け継がれるのは、技術もさることながら土を慈しむ心、絶え間ざる研究心、そして、何より創造することの喜びだったのではないでしょうか。
関連URL http://www.kasamayaki.or.jp/

◆展示場所
笠間芸術の森公園
 〒309-161 茨城県笠間市笠間2345
 TEL : 0296-72-1990
 開園時間 : 8:30~17:00