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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品兵庫県

兵庫県
工芸品の分類 その他工芸品
工芸品名 播州毛鉤

主要製造地域:兵庫県




《特徴》
毛鉤は、水生昆虫をそのまま模したイミテーションではなく、そのイメージを日本的美意識によって様式化したもので、美しい色をあしらった幻想的な工芸品です。
毛鉤づくりは機械万能の現在も昔ながらの手細工一本槍の技法によってつくり上げ、100年以上の伝統と歴史を誇っています。
わずか1cm足らずの鉤に、数種類の鳥の羽根を絹糸で巻き、金箔、うるしなどを用い指先でつくり上げる虫に似せた生き物となります。

魚の種類と季節・天候・時刻・水深・水色・水質など自然環境に適合させることが大切で、これを追及して、先人達は不断の努力と創意工夫を重ね、種類500余種つくり上げてきたのですが、今日でも、なお同種の鉤が愛用されています。
この水生昆虫に似た毛鉤を、水中で動かしてやるとあたかも川虫が泳いでいるかのように見え、魚を欺いてしまうほど生きた虫に見える毛鉤をつくる熟練者になるまでには5年以上要し、ベテランでも1本つくるには10数分もかかります。

昭和62年、経済産業大臣指定の伝統的工芸品にも指定されています。
平成19年、地域団体商標に登録しました。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 播州釣針協同組合 様

素材 鉄針・しけ糸(生糸)・テグス(ハリス)・羽毛・獣毛・金糸・毛髪・漆・金箔
製法・工法 ◆前準備
【1】 底漆塗
【2】 金箔貼付け
【3】 先玉付け(先漆玉付け)
【4】 先玉付け(金箔貼付け)
【5】 しけ糸付け
【6】 テグス付け

◆巻き
【7】 先巻き
【8】 胴巻き準備
【9】 ツノ付け
【10-1】 胴巻き(すきあけ巻き)
【10-2】 胴巻き(つめ巻き)
【10-3】 胴巻き(すきあけ巻き重ね巻き)
【10-4】 胴巻き(つめ巻き重ね巻き)
【10-5】 胴巻き(ぼかし巻き)
【11】 帯巻き
【12】 元巻き

◆仕上げ
【13】 みの毛付け
【14】 追毛付け
【15】 玉付け(漆玉付け)
【16】 玉付け(金箔貼付け)
歴史 魚を釣るのに疑似針を用いた例は古く、古墳時代に見られるとされます。
しかし現在の毛鉤の祖が文献上にあらわれてくるのは近世に入ってからです。

延宝6年(1678)に刊行された『京雀跡追』には「大しんもん町、魚釣針屋有、はえ頭その外色々しこみのつぎさお品々有」とし、伊右衛門という毛鉤師の名をあげています。
この伊右衛門は貞享(1685)の『京羽二重』にも「釣蠅(はえ)頭」として見え、当所は川魚用の疑餌が蠅に似せて作られたために蠅頭と呼ばれ、しかもその製作が職業として成立していたことが理解出来ます。

元禄年間には鮎の毛鉤釣りは京都を中心として広く関東にまで広がります。
当時は蠅頭の材料には馬の尾や鯨の髭が用いられていましたが、技術的な改良も加えられ、元禄16年(1703)の『親身附研上』に「公達や蛍をまねて、鉑流し」とあるのは、毛鉤に金箔が用いられていたものと解されます。
精巧さも増したと見え、それまでの蠅頭という名も寛政年間(1789~1800)頃からは「蚊針」「蚊頭」という名称が一般的となってきます。
同時に毛鉤による釣りの技術は全国的に普及し、例えば喜多村信節の『嬉遊笑欄』(天保元年: 1830)には「山川には香魚(鮎)等を釣る蚊頭というものを用ひ」とあり、また当時の釣の技法所にも、鮎を釣る蚊針は鶏の羽根で作るとし、秋田、上州、加州で用いられている黄毛・黒毛・赤毛・孔雀・蜂がしらの5種を図示しています。

このように京都を中心として発展した毛鉤であるが、幕末から明治初年にかけて、播州・土佐・加賀・秋田等の地でも毛鉤の生産始められるようになりました。
関連URL http://www.bantsuri.com/

◆展示場所
西脇市郷土資料館
 〒677-0015 兵庫県西脇市西脇790-14
 TEL : 0795-23-5992 / FAX : 0795-22-5880



小野市伝統産業会館
 〒675-1378 兵庫県小野市王子町806-1
 TEL : 0794-62-3121 / FAX : 0794-62-9258