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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品北海道

北海道
工芸品の分類 織物
工芸品名 二風谷アットゥシ

主要製造地域:北海道




《特徴》
二風谷アットゥシとは、沙流川流域に古くから伝わり、現在は主として平取町二風谷で伝統的技法が継承されている、オヒョウ等の樹皮の内皮から作った糸を用い機織りされた反物のことで、着物や半纏、前掛け、帯や小物類等に使用されます。
アットゥシは、アッニ(オヒョウ)等の樹皮の繊維で糸を作り、アットゥシカラペ(機織り機)を使って織られた反物のことを言い、その作業の多くが女性の手によるものです。織物の特徴としては、水に強いことや通気性に優れていること、天然繊維としては類稀な強靭さと独特の風合いを持っていることなどが挙げられます。二風谷アットゥシは、100年前に使用されていた道具とほぼ同様の道具を現在も使用して作られており、糸に撚りをかけることも特徴と言われています。

[経済産業大臣指定伝統的工芸品]
提供:二風谷民芸組合 様

※アットゥシの「シ」、アットゥシカラペの「シ」と「ラ」は、アイヌ語表記 上、本来は小文字にしますが、ウェブサイトのシステム上、小文字になっていないこ とをご了承ください。

素材 アッニ(オヒョウ)
製法・工法 二風谷アットゥシの製造工程は、糸裂き、機結び、糸撚り、受け糸取り、機織り等、多岐にわたっており、それぞれの工程において手作業となっています。

【1】樹皮を剥ぐ
 幹に切れ目を入れて、下から上に剥ぎます。水分を多く含んだ梅雨明けが最適。立ち枯れの危険のために立木を倒して行うことも多くあります。

【2】荒皮を剥ぐ
糸にする内皮(靭皮)を取り出すために、外の荒皮をていねいに剥がしていきます。

【3】樹皮を加工
樹皮をやわらかくするために、灰汁などを加えて釜で数時間煮ます。沼や温泉などに一週間程度漬ける方法もあります。

【4】洗う
ぬめりを取るために、沢などで洗って内皮をきれいにします。

【5】内皮を剥ぐ
何層にもなっている内皮を、揉むようにして薄く剥がしていきます。

【6】内皮を裂き糸を作る
指先を使って内皮を一定の粗さに裂き、その糸に撚りをかけながら、結び目を小さくする機結びで糸をつないでいきます。

【7】糸のばし
糸玉から糸をのばし、数メートル離れた棒に回しかけ、もう一方を織り機に通していく。この段階でタテに入る色や柄がきまります。

【8】受け糸を取る(機織り)
綿糸で下糸を順番にすくい上げペカウンニ(糸を掛ける棒)に8の字のように掛けていきます。

【9】横糸を通しペラで締める(機織り)
ペカウンニによって上下に分けた縦糸のあいだに横糸を通す。横糸を通す1回ごとに縦糸も上下させ、ペラ(へら)で締めます。

完成した反物をアットウシといいますが、それらで作られた着物や帯などを含めていうこともあります。糸は、生成りのままか、草木で染めます。
歴史 100年以上前から沙流川地域に住むアイヌの人々(sar-un-kur)などによって受け継がれてきました。
江戸期にはすでにこの沙流川流域の物産として他地域との取引が行われていたことから、当時すでに、沙流川流域で作られたアットゥシが他には類を見ない優れた土地の産品として重要視されていたことが伺えます。
アットウシ制作のための材料は、その集落の生活資源の共同採取の場(イウォロ)で採取されてきたものと考えられます。チセ(家)の建築材料や食料もイウォロから採取されてきたといわれています。
アットゥシは地域では生活に欠かせないものとして使用されながら伝統的技術・技法が継承されてきたとともに、1960年代から70年代にかけての高度経済成長期には観光の隆盛と関わりながら、土産品としても地域の生活・文化・経済に大きな役割を果たしてきました。なお、他地域では一旦、伝承活動が低調になりましたが、引き続きアットウシが活発に行われていた平取(二風谷)に触発されて、平取の伝統的技法が他地域に普及したといわれています。現在も、後帯機を100年前と同様に使用して伝統的技法が継承されており、地域の工芸家により構成される二風谷民芸組合が中心となって、工芸品の製造販売と技法の継承が行われています。
関連URL http://nibutani.jp/

◆展示場所
二風谷工芸館
〒055-0101 北海道沙流郡平取町字二風谷61-6 平取町アイヌ文化情報センター内
TEL     :01457-2-3299
入館料   :無料
開館時間 :9:00~17:00
休館日  :12月31日~1月5日(年末年始)