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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品愛知県

愛知県
工芸品の分類 木工品
工芸品名 つげ櫛

主要製造地域:愛知県




《特徴》
つげ櫛の特徴は、木目が細かく美しいこと、堅くて粘り気があることです。
「植物の物は植物で磨くのが原則」というこだわりから木賊(トクサ)[※1]を貼った磨き棒を使い、手間をかけ丁寧に仕上げたつげ櫛は、見た目が美しいだけでなく、静電気が起きにくく、髪を痛めず毛根に心地よい刺激を与え、頭皮のマッサージにも効果的です。また、櫛に使われる本つげにはアルカロイドが含まれており、抗菌抗炎症作用があります。

※1・・・研草とも書き、砥石のように茎でものを研ぐことができる。

つげ櫛に黒色や茶色の跡が付いているのは、より丈夫で重厚な櫛板を作るため、燻しと陰干しを3~5年もの長い年月をかけて繰り返し行うからです。永く使用するほど木肌に油がしみこみ、さらに艶のある色に変っていきます。

[あいちの伝統的工芸品及び郷土伝統工芸品]
提供: 櫛留商店 様

素材 黄楊(つげ)
製法・工法 下記の他にも細かい工程が数多くあり、櫛によっても異なりますが、大きく分けて9工程あります。

[1] 原木製材

[2] 乾燥 (陰干し、燻乾燥)
陰干し…水分をとり、木の性分を出す。約1年ほどの時間をかける。
燻乾燥…2、3ヶ月ぐらい燻し(燻製にし)、その後2、3ヶ月ぐらい室内で陰干しを行う。それを3~5年繰り返すことによって、より丈夫で重厚な櫛板ができる。

[3] 木取り (寸法切り)

[4] かんなけずり

[5] 歯作り (丸のこ、手のこ)

[6] 歯ずり
荒ずり(ヤスリ)
中ずり(ペーパー)
仕上げずり(トクサ)
櫛の歯1本1本に職人の思いを込め何千回も磨く。櫛造りで1番大事な作業。この大事な作業にトクサを使用しているので、通りが良く、静電気の起こりにくい櫛ができる。機械磨き(ペーパー仕上げ)の櫛とは、静電気の起き具合、櫛通り、梳ぎ心地が違ってくる。

[7] 型仕上げ (小かんな)

[8] みがき (トクサ)

[9] つや出し (布バフ)

完成
※上記の製造方法は櫛留商店に限ったものです。
歴史 櫛は世界共通の一番古い髪を整える道具であり、また髪飾りでもあります。古代より悪魔を払う呪力を持つ物として大切にされてきました。日本では源氏物語の中に、源氏が伊予に下る空蝉に扇(再び会うに通じる)と櫛を渡し、千筋に乱れる旅路もこれで梳けば何事も無事解決し安全に人生の旅が出来るよう祈願した、とあります。また風習として、家の新築施工時に家内安全と住む人の繁栄を祈願し、家の大黒柱に扇と髢(かもじ)[※1]、櫛などを取り付け家の神様を祀るなど、人々は髪を梳く道具としてだけでなく、櫛に多くの意味を見出してきました。

※1…髪を結ったり垂らしたりする場合に地毛の足りない部分を補うための添え髪・義髪のこと

江戸時代には髪型が多様化し、櫛の需要が増え、名古屋に何人ものつげ櫛職人がいたと推測されますが、東海地方では現在「櫛留商店」ただ1件とされています。戦前には20~30軒ほどあった櫛屋ですが、プラスチック製の櫛の普及や取り巻く時代の変化によって余儀なく廃業した店もありました。そこで櫛留商店は、櫛なしでは活動のできない伝統文化に注目し、大相撲や歌舞伎で使用されている櫛に力を入れてきました。また、つげ櫛の技術保存にも取り組んでいます。
関連URL http://kusitome.com

◆展示場所
櫛留商店
〒462-0059
愛知県名古屋市北区駒止町1-60
TEL: 052-991-3759/FAX: 052-991-3759



◆イベント開催
「全国職人の技展」にて実演販売
【期間】 2019年3月6日(水)~3月13日(水)
【場所】 仙台三越 7階 催事場

「にっぽん全国・職人の技」にて実演販売
【期間】2019年4月11日(木)~4月16日(火)
【場所】東武百貨店船橋店 6階 催事場