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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品群馬県

群馬県
工芸品の分類 染色品
工芸品名 桐生手描き紋章上絵

主要製造地域:群馬県




《特徴》
紋章上絵(もんしょううわえ)とは、いわゆる紋付の紋を手描きする技能です。

紋は今日一般に冠婚葬祭の和装式服、七五三の祝着、宮参りの初着等に用いられるほか、伝統の諸芸能、茶華道、神道、相撲等の各界の装束、衣裳に用いられています。

紋章上絵の技法は、生地・用途により様々で、大きく下のように大別されます。

「黒地」・・・黒地の着物や羽織に黒で紋を入れる。

「丸なし紋」・・・黒地に白い丸の無い紋を入れる。

「色抜紋」・・・色無地の着物や羽織に白抜きした紋を入れる。

「色入紋」・・・色地の着物、羽織などの石持(コクモチと読む紋を入れる円形の白抜き部分)に地色で紋を入れる。

「切付紋」・・・別の生地に紋を入れ切り抜いて、着物や羽織に紋を縫い付ける。

「摺込紋」・・・白の麻布や薄色の生地に黒で刷り込む。

「色摺込紋」・・・摺込み紋を墨でなく色を刷り込む。

「漆紋」・・・摺込紋の上に漆を塗る。

いずれも紋型紙彫刻、面相筆(めんそうふで)運筆の技術が必要となりますが、紋の形に対する感覚も非常に重要です。
後継者は個々の工房に就職して技能を修得し約7年で独立しますが、完全な技能修得には10年以上が必要であると言われています。

[ 群馬県指定 群馬県ふるさと伝統工芸品 ]
提供 : 桐生市教育委員会管理部文化財保護課 様

素材 型紙、染料、定着剤など
製法・工法 使用する用具
分廻し(ブンマワシ)と呼ばれる和製コンパスや様々な形のこて等、作業に特化した専用具を使用します。
直線を引く際に面相筆と供に持ち定規に沿わせる丸棒、型を切り抜く手製の小刀、刷毛等の染織用具等も使用し、いずれも職人の手に馴染んだ、年季の入った道具です。
用具が乗る黒い板は、盤板(バイタ)と呼ばれる紋章上絵の作業板で、主に桜材の一枚板が用いられます。

製作工程
【1】下絵(分廻しによる紋割り)
専用の型紙に直線を引き、分廻で均等に弧を描き下絵を付ける。

【2】紋型彫り
下書きにそって小刀で紋を切り抜いてゆく。

【3】擦り込み-蒸し・定着
石持に型紙を置き、刷毛を用いて染料を刷り込む。
刷り込みの後、蒸気により染料を定着剤等で落ち着かせる。

【4】線描き-仕上げ
刷り込んだ紋の細部に、面相筆を使い墨で線描きする。直線には定規、曲線は分廻しを用いてじかに書き込む。
線描きの後、樹脂加工等にて仕上げ作業を行う。
歴史 日本の紋章は、約5千種以上と言われ、その紀元は平安時代まで遡ると伝えられています。
当初は公家や武家の紋章でしたが、江戸時代の前期には家紋が完成・定着し、衣服にも紋をつけるようになりました。又、屋号や商標としての意匠も多様化され、暖簾等にも使用されるようになりました。

家紋が一般に広く用いられ、紋付羽織が普及するようになる江戸時代の中頃には、紋章上絵師が専業として成り立ったと考えられています。

明治頃より紋の大きさは、男物で約3.8センチメートルでしたが、現在はやや小ぶりな3.6~3.7センチメートル程になっています。女物は2.1~2.2センチメートルで男物同様、こちらも明治時代より小さくなっています。

桐生市では小林氏が三代に渡り紋章上絵師を続け、その技術を継承していました。
最後の職人であった芳夫(よしお)氏の祖父芳次郎(よしじろう)氏は、東京に生まれ、牛込神楽坂の親方の下で修行し独立。その後も東海道の各地を訪れ技術を磨き、刺繍職人と供に織物の産地桐生を定期的に訪れ仕事をする中で、大正の初めに桐生に定住しました。

芳夫氏の父啓祐(けいすけ)氏は幼少時より、父芳次郎氏に師事し、昭和の初期に東京日本橋の上絵師の元で半年ほど修行して帰郷。その1年位後には藤沢の上絵師の元で更に半年ほど修行したのち、再び帰郷。その後、父の元で磨いた技は長男である芳夫氏に受け継がれてゆきました。
関連URL http://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/bunkazai/1010700/kunisentaku/1001990.html

◆展示場所
詳細は下までお問い合わせください。

桐生市 教育委員会管理部 文化財保護課
〒376-8501 群馬県桐生市織姫町1番1号
TEL:0277-46-1111/FAX:0277-46-1109