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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品福岡県

福岡県
工芸品の分類 木工品
工芸品名 大川総桐箪笥(おおかわそうきりたんす)

主要製造地域:福岡県




《特徴》
桐は、調温や保湿効果・難燃性に加え、防虫効果もある高温多湿な日本の風土に合った木材です。

「大川総桐箪笥」(おおかわそうきりたんす)は、そんな桐の特性を最大限に活かした、木目の美しさが魅力の家具で、最上の柾目の厚版を用いた、緻密な職人技で作られています。

引き出しの奥には、空気の抜け穴となるカラクリもあるなど、緻密さゆえの開け閉めの感触や桐が持つ肌触りの良さも好まれています。

長く使えるものだから、祖母の桐ダンスを娘の嫁入り道具に使いたい、そんな場合には修理して先祖から子孫へと受け継がれるものとなっていき、いつの時代にも褪せることなく新鮮な輝きを放ち続ける一品となります。

[ 福岡県知事指定特産工芸品 ]
提供 : 大川伝統工芸振興会 様(製法・工法、歴史、写真等)、
    福岡県商工部 観光局 観光政策課 物産振興係 様 (特徴)

素材
製法・工法 【1】 板乾し
製材された桐板を板干場で2年ほど雨に打たせてアクを抜きます。
板の木目と素性を見極めて板選びをします。
頭の中でこの板は箪笥の何処にくるか決まっています。

【2】 板焼き
木取りの前に曲がった板に焼きを入れて真直ぐにしていきます。
板厚を無駄にしない、貴重な材を大切にする先人の知恵が生きています。

【3】 板矧ぎ(いたはぎ)
長台でかねくちを合わせて、前板には目が詰まった柾目(まさめ)合わせ、側板には板目に板目を抱き合わせ美しく見えるように、板を剥いでいきます。

【4】 ホゾ組合せ
柔らかい桐の場合鑿は押すのではなく刺身を切るように刻んでいきます。
桐箪笥は材選びから組立てまでを一人の職人が仕上げます。
刻みの道具も、それぞれの職人が自分で手入れした道具を使います。

【5】 本体組立て
大きな箪笥も自分の作業台で一人で組立てていきます。
さまざまな接取加工された部材が、竹クギや木クギで組立てられていきます。
美しく仕上げるために手間を惜しみません。

【6】 抽斗(ひきだし)組立て
柔らかい桐材に適した包蟻組みで抽斗(ひきだし)が組立てられます。
本体に隙間無く納まるように、一つ一つ鉋で0.01mmの調整をします。

【7】 ヤシャブシ
夜叉倍子(やしゃぶし)の実をコーヒー色になるまで長時間煮た煮汁がヤシャブシです。
ヤシャブシを塗った箪笥は長年の間に味がでます。

【8】 塗り
桐箪笥の表面はヤケ防止と美しい仕上げのために、ヤシャブシにとの粉を混ぜた物を刷毛に絞りながら数回重ねます。
カルカヤの根を束ねたうずくりで、木目に沿って目立てを行います。

【9】 金具付け
最後に前飾り、丸環、錠等を取りつけます。
桐箪笥金具は、民芸金具のような無骨なものではなく、大名道具に付けられていた優美で手が込んだ、美術工芸的金具を使用します。
歴史 大川家具の開祖、榎津(えのきづ)久米之介が船大工の技術を生かして、天文5年(1536年)指物を始めます。
これが「榎津指物」の起こりとされていますが、家具が主流になるにはまだ時を要します。

今日の箪笥(たんす)と同様のものが庶民の間に普及し始めるのは18世紀に入ってからです。
この時期、大坂製の箪笥がこの地へ下っていた記録が残っています。

文化9年(1812年)榎津長町に生まれた田ノ上嘉作は、久留米の細工職人に弟子入りし箱物の製作を習得して帰郷、箱物製作を始めます。
帳箪笥・衣装箪笥が19世紀中頃から生産され始めますが、大川独特の形となるのは明治に入ってからです。
関連URL http://okawa-dentou.jp/dentou/kiritansu/

◆展示場所
大川伝統工芸振興会
 〒831-0028 福岡県大川市大字郷原483-8
 一般社団法人大川インテリア振興センター内 (大川産業会館隣り)
 TEL : 0944-87-0035
 開館時間 : 8:30~17:00
 休業日 : 土曜、日曜、祝日