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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品宮城県

宮城県
工芸品の分類 漆器
工芸品名 鳴子漆器

主要製造地域:宮城県




《特徴》
「鳴子漆器」は、東北有数の温泉郷である鳴子で生まれました。以来、350年間、その美しさと伝統が伝えられ続けています。
18世紀後半の書物には塗物、箸、楊枝等が産物として書かれていて、漆器が鳴子の主要産物だったことがわかります。

「鳴子漆器」最大の特徴は、なんといってもその束得な塗りや仕上げ方などの「技法」にあります。
透明な漆を使って木地の木目を見せ、使い込むほどに透明感が増して飴色に輝く「木地呂塗(きじろぬり)」や、木地に漆を何度もふいて染み込ませ漆の色だけを表面に残して仕上げる木目の美しさを生かした「ふき漆仕上げ」などがよく知られています。
また、独特の技法を使ったものとして、墨を流したような模様を作り出す「竜文塗(りゅうもんぬり)」や、そのほか、しっとりとした美しさが引き立つ伝統的な「塗立て(ぬりたて)」技術による製品などがあります。

プラスチック製品の台頭にさらされながらも優れた伝統的な技が受け継がれ、平成3年(1991年)に国の伝統的工芸品として指定を受けました。今なお、職人さんたちが伝統を守りながらも新しい挑戦を続け、日用品として使用できる、丈夫かつ素朴な美しさをもつ漆器づくりを行っています。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
情報提供 : 鳴子漆器協同組合 様
画像提供 : 仙台市経済局 観光交流課 観光企画係 様

素材 漆、木地(ケヤキ、トチ、ブナなど)
製法・工法 「鳴子漆器」は、木地師と塗り師との分業により製作されます。

【1】木地造り
木地造りは、製作する製品に合わせて次のいずれかの製法によってつくられていることが、基本です。【挽き物は、ろくろ台及びろくろがんなを用いて成形すること】、【角物は、「挽き曲げ」、「留組み」または「ほぞ組み」をすること】、【曲げ物は、「ころ」を用いる「曲げ加工」をすること】の3種類があります。

【2】下地造り
下地造りは、「漆本下地(うるしほんしたじ)」、サビを使った「錆下地」、「渋下地」などといった技法で下地を作り、黒い漆を塗って表面をとぐ工程です。その他、技法によっては10~30ほどの工程を経てつくられるものもあります。

【3】塗漆
下地造りの終わった「鳴子漆器」に、刷毛の跡やほこりが付かないよう、中塗(仕上げの漆を塗る行程)を施した後、「花塗(はなぬり)」または「ろいろ塗」によって仕上げます。
「花塗(はなぬり)」とは、塗った漆をそのまま乾燥させる方法で、「ろいろ塗」とは、中塗後に表面を磨き完成させるという方法のことです。

【4】加飾
場合によっては、蒔絵で漆器に装飾をすることもあります。
歴史 鳴子漆器のはじまりは、江戸時代(1624~1643年頃)と伝えられています。

当時の岩出山城主であった伊達敏親氏が、地元の漆器職人と蒔絵職人を修行のため京都に送って技を持ち帰らせ、漆器づくりを振興・発展させました。江戸時代後期に庶民のあいだで温泉湯治が流行すると、温泉に訪れたお客さんによって「鳴子漆器」がお土産などとして需要が高まり、数多く製作されました。

明治時代に入ると、それまでの二人挽きから一人挽き足踏みろくろに技法が変わり、製品の種類も豊富になって、明治40年代に「鳴子漆器」は最盛期を迎えました。

また、鳴子出身の漆工芸研究家である澤口悟一が、昭和26年に「龍文塗」を考案しました。それまでになかった美しいマーブル模様の変わり塗りの登場により、「鳴子漆器」はさらなる発展を遂げました。

◆展示場所
詳しいお問合せは…
鳴子漆器協同組合
 〒989-6822 宮城県大崎市鳴子温泉字新屋敷122-2
 TEL : 0229-83-3628

◆イベント開催
全国こけし祭り・鳴子漆器展
鳴子漆器の展示即売会や東北各地から伝統こけし工人を招待しての制作実演など、鳴子温泉郷・秋の風物詩のイベントです。
詳しくは … 全国こけし祭り 公式サイトをご覧下さい。