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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品岐阜県

岐阜県
工芸品の分類 染色品
工芸品名 郡上本染

主要製造地域:岐阜県




《特徴》
郡上本染では、天然の藍草を原料に青・紺色などに染め、土間に埋め込んだ甕で藍玉 ・木灰・石灰・麸などで染液を醸成し、布を何回か浸して染めあげる江戸時代からの染色方法です。平均十数回も繰り返し染めたため、深い藍色が特徴です。
藍染めから発散する気体には、天然の防虫効果もあり、郡上本染の風呂敷などは古くから絹の着物の保存にも役立ってきました。永く使用いただけばいただくほど、藍染めの良さが出てくるのも魅力です。
また、藍染めだけではなく、鯉のぼり等いろいろなものを染め、洗張り等も行われていました。

山懐に深く抱かれた城下町、郡上八幡で約430年、その伝統の工芸技術を継承し、創作活動を通 して人々の暮らしの中で広く愛されてきたことが認められ、昭和52年「岐阜県重要無形文化財」に指定されました。

[ 岐阜県重要無形文化財 ]
提供 : 郡上本染 渡辺染物店 様

素材 布、藍、もち糊など
製法・工法 郡上本染の染色方法としては

[1]藍染 と [2]鯉のぼり(カチン染め) の2種類あります。

【1】 藍染
藍染めは、藍草で青、紺色等に染めるもので、土間に埋め込んだ甕に藍玉、木灰の灰汁等を混ぜ、藍染め液を醸成し、その甕の中で布を何回か浸して染め上げる伝統的な染色技法です。

【2】 鯉のぼり(カチン染め)
鯉のぼりは、大豆の搾り汁を使ったカチン染の技法が用いられます。
竹枠に結びつけた白い木綿布にもち糊で輪郭を描き、もち糊を乾燥させます。顔料に大豆のしぼり汁を加え、色付けを行い、2日程度乾燥させた後、もち糊を清流で洗い落とします。
この作業を「寒ざらし」といいます。冬の冷たい清流で洗われた「鯉のぼり」は布が引き締まり鮮やかな色彩を出します。

《伝統技術》
この両方に共通する技術として「筒描」を用います。

古くから伝わる筒描技法は、 練り上げたもち糊を筒袋に入れ、絞り出しながら手描きで柄を描きます。糊が乾燥した後、何度も天然藍の藍甕に浸し、 水洗いし、乾燥させる工程を繰り返し濃紺に染め上げています。職人の手の動き、感触がそのまま図柄に描きだされた逸品です。
鯉のぼりも同様に、筒描技法を用います。筒描したのち、顔料を大豆の絞り汁(呉汁)をハケで何度か着色します。
歴史 郡上本染の始まりは、江戸時代に入る少し前、天正年間といわれ、現在430年余を経過して現在に至っており、岐阜県下で唯一の本染技法を今日に継承しています。もともと藍染めをはじめ、鯉のぼり等いろいろなものを染め、洗張り等も行われていました。「郡上本染」という呼称は、昭和40年代に名づけられました。

藍は、天然染料の一つとして古くから用いられ、江戸時代には、藍で染められた布から発散する匂いは、防虫剤の役目を果たすことから、一般庶民の暮らしの中で使われることも多く、農作業の仕事着から火消しの法被、お祭りの衣装にも使われていました。特に、藍染めの風呂敷は、高価な絹の着物の防虫用で重宝したといいます。

日本では、大正時代までは全国でも数多い藍染め紺屋があり、郡上八幡でも昭和初期には、17軒の紺屋がありました。
現在は伝統的な本来の藍染めはめっきり減り、自然の植物から抽出された藍は、科学的に合成された化学藍にとって代わられつつあります。

利便性や合理性を追求したモノが、古くから受け継がれている伝統文化・工芸に取って変わりつつある中、郡上八幡の紺屋は渡辺家1軒だけとなりましたが、伝統を今も守り続けています。
関連URL http://www.gujozome.jp/

◆展示場所
郡上本染 渡辺染物店
 〒501-5222 岐阜県郡上市八幡町島谷737
 TEL : 0575-65-3959 / FAX : 0575-65-3958



◆イベント開催
「鯉のぼりの寒ざらし」
毎年、大寒の日(1月20日)に郡上八幡の清流、吉田川で「鯉のぼりの寒ざらし」が行われます。郡上本染めのもう一つの手法である「カチン染め」により染め上げた鯉のぼりの糊を洗い落としながら冷たい川の水に晒す事により、生地をひき締め、鮮やかな色彩 を実現します。
江戸時代から続く寒ざらしは、子供達の健やかな成長を願う行事であると共に冬の風物詩として知られ、県内外からもたくさんの方々が参加されています。

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