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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品高知県

高知県
工芸品の分類 竹工品
工芸品名 虎斑竹細工

主要製造地域:高知県




《特徴》
虎斑竹(虎竹)は淡竹(ハチク)の仲間ですが、表面に虎皮状の模様が入っているところからこう呼ばれています。

竹は3ヶ月程で親竹と同じ大きさに成長し、3~4年で製品へ加工する事のできる生命力の力強い植物です。
永続利用が可能な唯一の天然資源と言われる竹は、環境問題が問われる現代では切っても切り離せない新素材です。

イギリスBBC放送が取材に来られた時には「ミラクル!」を連発されていた神秘的な虎竹。
高知市五台山には、命名の父である世界的植物学者の牧野富太郎博士ゆかりの牧野植物園があり、こちらに虎斑竹を移植しています。
これまでも各地に移植を試みたものの何故か虎模様が綺麗にできず虎斑竹になりませんでしたが、やはり牧野植物園でも美しい虎模様はできていません。まさにミラクルバンブー。

虎斑竹は安和の風土が育んだ山の幸なのです。

[ 高知県伝統的特産品 ]
提供 : 虎斑竹専門店 竹虎 様

素材 虎斑竹
製法・工法 1. 袖垣の作り方

【1】枠組み
◆芯には孟宗竹
袖垣は一本の竹で作られているように見えますが、実は内側に孟宗竹の芯が入っているのです。しっかりした3~4年ものの孟宗竹で枠組をしていきます。

◆玉袖垣の技
芯に使う孟宗竹に細い三角形の切り込みを数カ所いれていきます。玉袖垣の肩の部分はゆるやかな美しい曲線になっていますが、芯の孟宗竹をこうやって曲げる事により芯の形を作っていくのです。

◆曲線美
玉袖垣の曲がり部分は熱を加えて曲げるのですか?そんな質問をいただく事もよくありますが実はこうやって芯の孟宗竹を切り込み綺麗なカーブに仕上げています。

◆枠の接合部分
芯となる孟宗竹に穴をあけます。芯の中にさらにワンサイズ細めの芯竹を入れて穴に差し込み枠の接合をしていくのです。

◆竹釘
竹は中が空洞になっているため、普通の釘では固定する事はできません。そこで、芯となる枠組の接合等には数種類の太さに揃えた竹釘(竹を丸く削り、先をとがらせた竹串のようなもの)を使います。穴より少し太めの竹釘を打ち込むことにより、しっかりと固定できるのです。


【2】格子入れ
◆格子を組む
格子入れは、虎竹を一定の幅に割り揃え左右どちらから見ても良いように二枚を背中合わせにして格子に組んでいきます。竹釘を打ち込み固定した後、四万十かずらで交差部分を一つづつ丁寧に縛ります。

◆四万十カズラ
高知を流れる雄大な四万十川上流域で自生するかずらをこう呼んでいます。格子を縛るカズラは十分に乾燥させて保管していますので使用する2日ほど前から水につけて柔らかくしておいて使います。


【3】竹巻き
◆職人の腕の見せ所
ここが竹職人の腕のみせどころ。細く割った虎竹を孟宗竹の芯に巻き付けていきます。角袖垣の竹巻きに比べて玉袖垣の竹巻きは割幅も細く、肩の部分の曲がりにそって竹表皮がキッチリ表になって美しい袖垣に仕上がるように巻き付けるには熟練の技術が必要とされます。

◆節模様
竹には必ず節があり、これが特徴となっていますが、この節が細く割った竹を巻き付ける際に少しづつ割竹をずらすことで面白みのある模様を作っていく事ができるのです。


【4】仕上げ
◆黒穂
竹は上から下まで全てきれいに使える素晴らしい素材です。竹の枝も集められ袖垣にこうして使用されるのです。

◆ひしぎ
一本の丸竹を平らになるように何度も何度も叩いて作られます。細かく叩くほど見た目に美しく、職人の使いやすい平たいヒシギとなります。袖垣作りに忙しかった時期には何人もの専用の職人さんがおられてヒシギを叩く音が朝から夕方まで賑やかなほどでした。

◆飾り竹
ヒシギの押さえ竹の上に、飾り竹を設えます。

◆棕櫚縄
棕櫚(しゅろ)箒などの材料にもなる棕櫚の木から作られる棕櫚縄は丈夫で昔から庭園資材として多用されてきた縄です。棕櫚縄で飾り竹を綺麗に仕上げていきます。
歴史 【「虎斑竹」と牧野富太郎博士】

土佐虎斑竹(トサトラフタケ)の命名をされたのは、高知県出身の世界的植物学者で自ら、草木の精と言ってはばからなかった牧野富太郎博士です。
牧野博士が、虎斑竹を命名されたのは1916年(大正5年)の事。
はちくの変種にして、高知県高岡郡新正村大字安和に産す。(現在の須崎市安和)凡の形状淡竹に等しきも、表面に多数の茶褐色なる虎斑状斑紋を有す。余は明治45年4月自園に移植し、目下試作中なるも未だ好成績を見るを得ず。

【歴史】

明治27年(1894年)に初代である山岸宇三郎が大阪市天王寺区で竹材商として創業した時までさかのぼります。その頃竹は、人々の生活に深く根ざし欠かせないもので、どんな小さな村にも竹細工職人が一人はいると言うような時代でした。竹は農漁業、建築用材、庭園材等、日々の暮らしや仕事の道具として様々な用途に利用されており、多方面に竹を供給する竹材商として宇三郎は商売をはじめました。

そして、宇三郎が良質の竹材を全国をまわり探すうちに出会ったのが、竹の表面に虎模様の浮き上がる虎斑竹(とらふだけ)でした。虎竹は土佐藩の年貢として山内家に献上されたという記録も残る銘竹でありましたが交通の難所と呼ばれていた安和の土地柄と藩令による禁制品のため広く知られずにいたのです。
宇三郎は神戸にも竹工場を持ち大正4年(1915年)より釣竿製造をはじめ海外輸出も盛んに行うようになりました。当時日本の竹は品質、加工技術共、ヨーロッパで高い評価を受けていて港のある神戸には数社の竹製造メーカーがありました。

昭和に入ると二代目義治も家業を手伝うようになりました。虎斑竹が何故かこの安和の谷間でしか成育しないという事で杉や檜の植林の替わりに虎竹の成育と生産を地元山主と協力し竹林面積を広げていきました。
昭和45年(1970年)3月には、竹製品、竹細工を集めた展示販売場を完成させました。
関連URL http://www.taketora.co.jp/

◆展示場所
竹虎本社
 〒785-0024 高知県須崎市安和913-1
 TEL : 0889-42-3201
 営業時間 : 9:00~17:00
 アクセス : 道の駅「かわうその里すさき」より車で4分、JR須崎駅からタクシー7~8分、JR安和駅から徒歩2分