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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
黒森歌舞伎 | 歌舞伎 カテゴリ

総数:128件

伝統文化

黒森歌舞伎
伝統文化の分類 歌舞伎
文化名 黒森歌舞伎



黒森歌舞伎《特徴》
黒森歌舞伎は、山形県酒田市黒森地区に270年以上前から伝わる農村歌舞伎です。毎年、旧正月にあたる2月15・17日に日枝神社の例祭で奉納します。客席が屋外にあり、雪の降る中演じられる芝居は、「雪中芝居」「寒中芝居」とも言われています。

いつごろ始まったのか詳しい記録は残っていませんが、公演で使用する古いお面に関してまつわる伝承があります。その昔、江戸の歌舞伎一座が巡業で黒森に来たとき、地元の人が「式三番叟」の面を気に入り、譲ってほしいと頼みましたが断られてしまいました。そこで、座員に自分の家に泊まる言うに勧め、彼らが眠っている間に面も形を映し、それを元にお面を作ったという事です。そのお面が享保20年(1735)なので、すでにその頃にはもう芝居が行われていたことが分かります。

毎年2月という寒い時期に行う理由は、黒森歌舞伎は娯楽のための歌舞伎ではなく神様に捧げる歌舞伎である奉納歌舞伎だからです。奉納先の日枝神社の祭礼が旧暦の小正月に行われるため、2月に上演します。歌舞伎を舞う座員は、全員素人で、昔の人はほとんどが農業に従事していたので、農閑期であることも多少関係していたのかもしれません。

演目のレパートリーは約60種類あって、近年上演するのは15作ほどで、大歌舞伎でもよく演じられる有名な作品が大半です。上演する演目はくじで選びます。その年の公演が終了した後に、太夫振舞(たゆうぶるまい)という打ち上げ会が関係者の間で行われます。その時に、歌舞伎一座の若い者が一名、神社の井戸水で身を清め、事前に選んでおいた3作品の中から古式にのっとた方法でくじ引きし、一作品を選び出します。その後、配役を9月ごろに決定し、1月10日を過ぎてから立ち稽古を開始するというのが習わしとなっています。


[山形県指定民俗文化財]
提供: 黒森歌舞伎保存会事務局 酒田市教育委員会 社会教育課 文化財係 様

黒森日枝神社


酒田市民会館「希望ホール」

所在地 酒田市黒森村中47
展示場&開催場所 【正月公演】
場所:黒森日枝神社境内(屋外)
日時:毎年2月15日、17日
【酒田公演】
場所:酒田市民会館「希望ホール」(屋内)
日時:3月上旬
問い合わせ先 酒田市教育委員会 社会教育課 文化財係
Tel 0234-24-2994
アクセス 【JR利用】 羽越本線「酒田駅」から庄内交通バス七窪行きで「中黒森」下車(駅から約37分)。 ※運行ダイヤの曜日、時間にご注意ください。駅からタクシー利用の場合、約20分(路面状況により変わります)
【高速道路利用】 日本海東北自動車道「庄内空港IC」出口を左折、次の信号左折して直進 (ICから約5分) 無料駐車場有り。
観るポイント 正月公演の本狂言の前には「少年歌舞伎」が上演されます。黒森地区の小学4年生から小学6年生の児童で構成されています。大人たちと同じ役を演じることで直接指導して稽古を行う事により、後世に財産として受け継いでいるのです。楽器の演奏も全て小学生が行うので、思わず顔がほころんでしまいます。