NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

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  • 04月22日 伝統を「うけつぐ」という意味
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伝統を「うけつぐ」という意味

2015/04/22
伝統を「うけつぐ」という意味

先日、当機構の紹介記事作成の関係で、とある伝統工芸品を作成していらっしゃる団体さまとお話をさせていただく機会がございました。その際、伝統工芸品の現状に関する、とても貴重なお話を伺うことができました。

まず、その団体さまがおっしゃったことは「伝統工芸品を受け継ぐ人がいない」ということでした。
伝統を「うけつぐ」という言葉には2つの意味があって、1つは純粋に「その技術をうけつぎものづくりを行う人」と、いうこと。もう1つは、職人さんが作った伝統工芸品を「使う人」のこと。
つまり、現代では伝統工芸品の「作り手」のみならず、「使い手」が少なくなってきているということです。

それから、材料が不足しており、工芸品を作成したくても作成できない状態にある、ともお話してくださいました。
工芸品に使用する動物の皮などが、条例や条約が厳しくなったために入手したくてもできずに、材料そのものが手元にない、という状況だそうです。そのため、提供する価格も高くなってしまったり、受注を受けてからの作成のみをされているとのことでした。

この方のお話を聞いて、私は衝撃を受けました。今まで、伝統工芸品を受け継ぐ人が足りない、という意味は、そのままの「後継者がいない」という意味でだけ捉えていたからです。

ですが、伝統工芸品の「使い手」としての私たちの意識も大いに関係していることに気づかされました。職人の方が制作し、伝統技術を守っていても、使われなくては意味がありません。

伝統工芸品が昔から使われ現代まで残っているものには、「物もちが良い」「見た目が美しい」など、必ず秀でた理由があります。また、和紙や木綿を素材に使用したものなど、日常生活でも使う機会の多い伝統工芸品も多くあります。

多くの伝統工芸品から、自分が使えるものから、手にとってその良さを実感したいものです。



2015/04/22 kan