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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品三重県

三重県
工芸品の分類 織物
工芸品名 伊勢木綿

主要製造地域:三重県




《特徴》
伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ、尾張名古屋は城でもつと歌われた様に、伊勢の国の中心地であった津の周辺は、絹(伊勢紬)、麻(津もじ)、木綿(伊勢木綿)の産地でありました。
木綿の柄は地方による違いはあまりなく、今も昔も基本的なパターンは変わりがありません。
独自性が出るのは糸と染織です。

伊勢木綿は単糸(たんし)という一番ベーシックな糸を使用しています。
その単糸は、アメリカ製のサンホーキンスという最高級の綿を芯にした糸で、明治時代に倉敷紡績が開発した「三馬」(みつうま)というブランドのものであるのです。
単糸は切れやすくて織るのが非常に難しく、いい綿を使った単糸でないと織ることができません。
単糸の長所として、糸がやわらかいのでシワにならないということがあります。
やわらかくて肌触りが良く保湿性や通気性も良いので、使い込めば使い込むほど、味がでるのです。

現在の伊勢木綿の藍染の場合、藍100パーセントで染めると少し色ムラが出るので、それを抑えるために5パーセントほど、石油から生成されたインディゴを入れています。
それによって値段も抑えることができます。

[ 三重県指定伝統的特産品 ]
提供 : 臼井織布 様

素材 染め上がった糸
製法・工法 【1】 糸の準備
かせくりをします。
精錬をして汚れ油分を取ります。
精錬の工程において化学薬品は使いません。

【2】 糸染め
藍染め、お茶染め、くり皮染め、堅牢染めをします。すべてかせ染めです。
打ち込み密度をあげる為横糸に使用する糸には糊を使いません。
縦糸には、ムネン糸ですので弱い為、澱粉糊を用いて、糊付けをします。サイジングではありません。

【3】 糸巻き
染め上がった糸を木の糸巻きに(ボビン)巻き付けます。
糸巻きは何本も用意します。(多いときは250本)
糸巻きを「屏風(整形)」にセッティングし、糸巻きから一本づつ引き出した糸をさらに大きなチキリに巻いていきます。
全てが機械まかせではなく、傍らで絶えず人が見て機械の調整をしながら、糸を巻いていきます。

【4】 機織
いよいよ機織りです。
チキリに巻きつけた糸を縦糸として力織機に取り付け機つなぎをします。
シャトルについた横糸が右へ左へと自動的に行き来し、少しづつ木綿布が織り上がります。
大体1分間に3cmほどが出来上がり、一反分約13mを仕上げるのにおよそ一日ほどかかります。
その間もベテランの織り子さんが絶えず織りあがりの様子を見て注意しています。
織り機の調整は紐でくちあきを調整する事が主な仕事です。
織りあがりの風合いを決定します。この仕事は以前手直しと呼んでいました。
歴史 奈良時代に、大和朝廷より錦織の技術が伝わり、室町時代には綿の種が伝来、伊勢の地方は土、水、天候、冬場の肥料鰯に恵まれ一大産地になりました。
17世紀以降、伊勢の「白雲織(紺無地)」は「伊勢晒」と共に有名になり、縞模様も織られるようになって、伊勢の国からきた木綿つまり「伊勢木綿」と称し商人によって、江戸大伝馬町の伊勢店で大量に扱い、販路は遠く東北地方北海道にも及んでいたのです
。明治20(1887)年に、伊勢織物業組合が結成され、質の悪い織物を取り締まり、織萌黄(おりもえぎ)といった独創的な製品を考案し、販売の拡大を図りました。
さらに、伊勢染生産組合を組織し、硫化染に着手し、仕上がりの良い物を生産するに至ったのです。

伊勢という地において木綿産業は、他の地域(三河、河内等)と同様に、その気候、水、土、労働力、運送と江戸時代当初より恵まれ、飛躍的に その生産量を伸ばし、特に明治に入り国の政策、及びトヨタ式織機等の革新織機にもより一大産地となりました。
しかし、戦後化学繊維の発展、生活の洋風化、及びその製造業者が零細であり時代を読む力がなかった為、廃業するところがたくさんありました。
また、地元でも、つい50年程前まで、たくさんの織物工業があり、一大産地であったことなど、だれも知らないのが現状です。
関連URL http://isemomen.com/

◆展示場所
臼井織布
 (伊勢木綿の販売をしています。)
 〒514-0113 三重県津市一身田大古曽67  
 TEL : 059-232-2022